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ファフナー

運動会

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秋になった。
恒例の運動会が行われ、毎年のように周囲の人間から期待され続ける時期がきた。
一年の中で一番人に話しかけられる。まったく知らない人間にまでだ。
そしてそれは中学2度目の秋もまた然り。
年を重ねるごとにどの競技でも活躍するようになり、今年は「一騎君がいるほうが勝ったも当然だよぉ」とまで遠見に言われてしまった。いいすぎである。
団体競技では自分ひとりが本気をだしたところで目立った得点には結びつかない。
そして自分はそういった競技が苦手であった。チームワークを大切に、助け合おう、力を合せれば勝てる、そんな掛け声が響き渡る中で常に他人を思いやりながら行動しなければならないのだ。
正直、億劫である。むかでリレーなんかとくに。
その分個人競技は気が楽であった。
しかし今年配布された種目がのった紙には団体で行うものばかりであった。
甲洋によれば、そのほうが親も喜ぶし自分たちも盛り上がる、そうだ。
それを聞き、また気が重くなる。
ファイト、と周りの同級生たちが熱くなる中辛気臭い顔をする自分に甲洋が励ました。

総士とはクラスが違うのでその流れで運動会も同じ組にはならない。左目に傷を負わせてからである。
そしてその出来事から総士はあまり体育に参加はせず、運動会でもあまり競技にはでなかったので運動会において顔をあわせる、ということは少なかった。
しかし全校生徒がグランドにでて騎馬戦や応援合戦の練習、プログラムの進行の予行を行うわけで、総士を探せばすぐにみつかる。
とくに総士の場合、生徒会役員で参加する種目も少ないということで放送委員や教師、生徒会の人間と話しているためほとんどテントの下にいる。
どうしても総士が気になり休憩の合間に何度もテントへ目をやってしまう。
総士の周囲にはいつも人がいる。普段の学校の生活でもそうだが、こういった行事においてはさらに総士は誰からも頼りにされている。嫌な顔をせず、静かに迅速に仕事こなす。総士のとりまきはそんな総士に自分でできることまで任せているのではないか、そう思っていつも胸が苦しくなる。
自分が総士になにかできるわけではない、そんなことをする権利がないことは理解しているつもりであるが。
だから自分はただ総士の邪魔にならぬよう問題をおこさないようにするだけだ。
そういった気持ちで毎年運動会をこなしてきた。
楽しいなどという感情とは無縁であった。


生徒は皆外にいた。自分は校舎の中にはいり静かな教室で休むため誰もいない廊下を歩いていた。
向こうからプログラムの紙をもった総士がきた。
自分は思わず止まる。思考も停止した。下を向きこの状況を呪う。汗が伝い、緊張で息をするのもつらくなってきた。
総士はなにも言わず歩き続ける。まるで廊下にはだれもいない、ここにいるのは自分だけだといったふうに。
結局総士の足音が聞こえなくなるまで自分は立ち止まったままであった。
自分を通り過ぎていく総士はどのような顔をしていたのだろう。蔑んだ目をしていたら、と恐怖で顔をあげられなかった。
こんなことなら外にいればよかった。そんな考えで頭は埋もれていた。


「今年はやけにつまらなさそうにしていたな」
「・・・そうかな」
「あぁ」
「いつもだよ」
「・・そうか」

嵐のように今年の運動会も過ぎ去った。
父が感想を述べた。自分はそんなに態度にでるほうだったのか。
学校の廊下での一件から運動会自体に嫌気がさした。遠見にも元気をだすよう何度もやわらかく叱られた。
しかし学校につき、いざ練習が始まると廊下での総士の足音がよみがえりひどく落ち込んでしまった。
父に、寝る、と告げて自分の部屋へいく。
来年は運動会なくならないかな、一人布団の中で願った。



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