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ファフナー

ちょっとした

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※またもや学パロ。2011総士誕生祝いつつ。


1.

一騎と高校1年生にして同じクラスになった。しばらく同じクラスになっていなかった…もとより話てもいなかったが。
入学式直前のクラス発表での彼の顔はあきらかに驚きと恐れが見て取れた。少し傷つく。
別に一騎のせいでもない、左目の事故から互いに避けている。現在進行中。会えばそれなりに気にするような態度をとるのが癪にさわる。他の奴とは変わらずに接するくせに、僕は。
入学からしばらくたって、だいたいのグループみたいのも出来上がる。家の用事(父の仕事の手伝い、妹の世話)が増えたから、週三ぐらいしでしか学校にいっていない。交友関係は浅く広く。甲洋や要、剣司、衛とはよくいる。蔵前は勝手に向うからくる。一騎は僕と同じような感じだが、最近は遠見や狭間(姉妹)といるとこをよく目にする。女子ばっかりである。

「今日も呼び出しだよ」

甲洋が笑いながら手紙を手に持って、ひらひら泳がす。

「朝から先輩三人振るのも大変だな、甲洋」

それ、手紙運ぶのやめろっといってるが、こいつは止めない。何が優しい王子様だ。ここの学校の女子は彼の底意地の悪さを知らない。

「そんなことないさ。…総士、また全部男子からだぜ」
「…いらないって言ってるだろ」

人から好意もたれるのは嬉しいが、噂の的になるのは嫌いだ。せめて妹のような女子からの手紙なら。

「僕はいかないからな…」
「はいはい」

甲洋はからかうが、手紙は破棄してくれる。クレーム処理も担ってくれるので助かる。ただ人前でからかうのだけはよしてほしい。
一騎と目が合った。なんだ、女子に囲まれているくせに。僕のこと馬鹿にしてるのか。


2.

春は眠い。それにつけて昨夜は父の仕事がなかなか捗らず、僕は寝ていない。
不健全だ、不健康だ、睡眠不足だ。
僕の家で最低限の家事が出来る人間は僕しかいない。妹は女王で、あまり動けない体だからごろごろしている。父に家事をやらしたら僕が耐えられない。主に消化器官が。
一家に一台家事ロボットが欲しいなんて考えながら自転車をこいでいたら前に歩いていた人間を轢いた。
轢いたと思った人間はどうやら瞬時に避けたらしい。人を轢いた感触がなかったからだ。
どんな身体能力…しかし助かった。そう思って顔を上げれば、そこには一騎がいた。
申し訳ないという感情に先立ち、近頃のハーレム状況のイラつきが心をくすぶって、思わず舌打ちをしてしまった。
泣きそうな顔を見て、少し悪かったとは思った。少しは。

「なあ、一騎どうしたんだよ」
「僕が知るか」

学校に着けば、甲洋が一騎の変調を察知したらしく僕に問いただした。なんで僕なんだ。


3.

今日は職員会議が急遽入ったらしく、学校が半日休校になった。
僕もその日は暇だったので、甲洋とファミレスにいくことになった。どうせ剣司とかもいるだろ。
ドリンクバーでコーヒーを入れて席につく。その後にお茶を持った甲洋が僕の隣に座る。あと、炭酸系の飲み物を持った剣司と衛がついて来ていた。それぞれ真向かいに座った。

「えぇ~本日はお集まりありがとうございます~」

剣司の意味不明な選挙活動から口火がきられた。
三人の主な僕への質問は一体、一騎に何をしたのか、ということだった。要約すると。

「だって今にも死にそうな顔してんじゃん、一騎の奴」
「遠見とか狭間姉妹もそれと同じぐらい憂鬱になっちゃっててさ。ほら、一騎なにげに女子にもてるからクラス、学校の女子が暗い顔にぃ~」
「狭間がおちこんでるのはよくないよ」

一騎が落ち込む→女子が落ち込む、これをどうにかしろ。三人の狙いはこういうことだった。
だから僕のせいじゃないだろ。自転車で轢いてないし。
それに舌打ちぐらいで死にそうになる人間じゃないだろ、あいつ。

「僕は知らないっていってるだろ」


4.

僕から話しかけなんぞはしない。この積もりに積もった数年間の無言の重みは僕を黙らせている。



5.

「……総士…」

下校中また一騎を轢きそうになる。というより、今度は一騎自身が僕の前に飛び込んできた。
なんだこいつ馬鹿か、馬鹿なのか。
心臓がバクバクする中、一騎は僕を拉致した。僕の荷物と僕自身を持ち上げて。

「自転車!」

僕の叫びは一騎には届かず、そのままひとり山に連れ込まれた。恐ろしい奴だ。
山の中、木の根元に下ろされた。周りには誰ひとりいない。これぞひとり山。
一騎が立て膝のまま近寄ってくる。肩をつかまれた。こいつの手、僕の倍の太さがある。逃げられない。

「……総士…」

木々の葉の隙間からに日射は一騎の顔に影を浮き彫りにしている。十数分、僕の名前をぶつぶつ唱えている。怖い。僕のバッグ返せ。


6.

硬い地面と木のせいで、体が痛くなってきた頃、一騎が泣き出した。

「…は?」

堆積した無言の山を打ち破って、僕は声をあげた。そうしたら更に泣いた。

「…俺、お前に死んでほしいって…」

言ってないぞ。そんなこと言ってなどいない。

「…僕がいつそんなこと…」
「左目、俺はお前が苦しんでるのに今までのうのうと生きて…」
「だから僕はお前に死んでほしいなんていっていない!」

一騎はすごいびっくりしていた。目が丸い。くそ、びっくりしたいのはこっちだ!


7.

「舌打ちは?」

一騎が聞いた。まさか、こいつ、まさか。

「別にお前に対してじゃない」

嘘をついてやる。これは優しさだ。

「俺、お前が、俺のこと轢き殺したかったのかと思って…」

泣きながら一騎は抱きついてきた。こいつの匂いを覚えている僕もどうかしているが。
だけど少しぐらいは呪うことを許してほしい。
馬鹿、馬鹿、馬鹿、こんな馬鹿はお前ぐらいだ馬鹿。

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