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ファフナー(学パロ)

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体育の後から一騎の様子はおかしかった。それなりに真面目な性格をした一騎が授業に遅れるなど前代未聞である。それだけではなく、一騎はその後の授業でもどこか上の空で、三時限目に遅れた理由に何か関係しているのは明らかであった。気にかけた真矢が何度も一騎に、大丈夫?と心配したが、一騎はただ、ああ、だの、うん、など答えるだけで、真矢もため息をついた。

「総士と何かあったの?」

衛が一騎に尋ねる。体育の後の成り行きを知っている衛はこんな一騎は見たことがない、と少し不安になり声をかけた。

「いや・・別に」
「嘘だよ。みんな心配してるよ」
「本当に、何もない。総士がありがとうって言っただけだ」

そこへ咲良が割りこむ。

「あんたいい加減総士と仲直りしなさいよ」
「・・・・今日一緒に帰るよ」
「なら何そんなに不安そうにしてんのよ」
「そんなことない・・と思う」

そう一騎が一瞬目を泳がせて言う。

「とにかく、一騎と総士は仲直りしたんだよ。ならいいじゃん」
「まぁそれならいいんだけどさ」
「なんか、ごめん」
「いいよ。一騎は武者震いしてるんだよね、わかるわかる」
「何がわかるわかる、よ。総士は一騎の敵じゃないんだから」

そこまで三人が話したとき何か残念がるような奇声が廊下に響く。何事かと、三人は廊下へ目をやった。そこには困ったな、という風に苦笑いしながら立っている総士とその足にすがりつきながく剣司がいた。

「何やってんのよ馬鹿剣司!」

咲良が声を張り上げた。

「姉御ぉ・・総士が今日の合コン来てくんねぇんだよおぉぉー」
「僕、用事あるから」
「総士が来ないってわかったら女の子みんな来ないじゃんかよ!」
「どうして僕がいくこと前提に話がついてるんだ」
「そうしないと誰もこないからに決まってんじゃん」
「あのな・・・」
「剣司!今日は総士、一騎と帰るんだからさっさと総士を離す!それと合コンってなんのこと?ちょっと向こうで全て話しなさい」
「ひいぃぃぃごめんなさいいぃぃぃ」
「あっ!逃げてんじゃないわよ!この腰抜け!」

総士と剣司の会話は途中からいつもの夫婦漫才が始まり剣司を追いかけて咲良もいなくなってしまった。取り残された総士と一騎。衛は咲良と剣司が話し始めたときにさっさと帰ってしまっていた。気まずくなってお互いに顔を見合わせ困ったように笑いあう。なんか幸せだ、一騎はなぜか安心していくのを感じていた。その二人を少し離れた所から真矢は見つめていた。どこか寂しそうに。
校門をでて二人の足どりは一騎の家へとむかっていた。一騎は気づく。

「お前の家って反対の方向じゃないのか?」
「いや、こっちであっている」
「?」
「僕、今一人で暮らしている。僕の家はこっちで正しい」
「そうなのか・・全然知らなかった」
「最近だからな、引っ越したの」
「ふぅん」

そう話す総士の横顔はどこか嬉しそうにも、悲しそうにもとれた。そして一騎はそれ以上のことを聞くのをやめた。無粋に総士の心に入り込みたくはないという考えとそれを拒絶されることを恐れたからであった。

「僕の部屋で話そう、一騎」
「部屋?」
「マンションに暮らしてるんだ」
「そうか」

そして一騎の家から数分しかかからぬ所に総士のマンションはあった。新しい、いかにも高級感あふれる建物である。こんなに近いとこに住んでたのか、そう一騎は驚いた。総士は自動ドアをくぐり一騎を部屋へ招く。一騎は自分の顔が写るほど磨かれた石を素材にした床、綺麗な装飾を施した灯りや高そうな花瓶にささる鮮やかな色をする花を見るにつけて、自分は場違いなのではないのか、といった気持ちになっていた。
総士の部屋につく。そこはさきほどの煌びやかな空間とうってかわって最低限の日用品しかない、静かな部屋であった。総士の香りがほんのりと一騎の鼻をくすぐった。それだけで一騎はここに来てよかった、と思えてしまっていた。

「何もないけどゆっくりしてくれ」
「俺の方こそ気にしないでくれ、総士」
「ありがとう。今飲み物持ってくる」
「ああ」

一騎はテーブルの周りのソファーに適当に座る。ここはリビングか、と部屋を目を一周して見ていたら総士が氷が三つほど入ったコップに麦茶を入れて持ってきた。そういえば総士はなんで俺のことを家によんだのだろう、そう一騎は疑問に思っていた。実のところ、一騎は総士に一緒に帰る約束をされたとき、総士に誰もいないところで左目を傷つけたことを罰せられるのではないか、と考えた。しかし帰り道や総士の部屋についてからも総士は特に一騎を嫌がる様子も怒る様子も見せなかったので一騎は少し安堵していた。

「今日僕がお前を呼んだのは少し話があったんだ」

一騎は一瞬息を呑む。コップの外に張り付いた水滴が下へ伝い落ちる。

「これからなるべく僕と一緒にいてくれないか、一騎」
「・・・・えっ?」
「僕のそばにいてほしんだ」

一騎は完全にパニックを引き起こしていた。心臓が血液を送りだすのがはやい。一騎は何度も総士の言葉を頭の中で繰り返す。しかし数秒たっても理解できないでいた。一騎の顔からは湯気がでてるんじゃないか、というほど熱くなっていた。

「・・・駄目か・・?」

総士は上目づかいで一騎の顔をのぞきこんだ。長い髪が数本総士の肩から宙へと落ちた。

「いやっ、いやっ、駄目じゃない!全然駄目じゃない!」
「一騎、ありがとう」

一騎が総士のそばにいるよう頼まれて断るはずもなかった。総士にどんな意図があろうとも。しかし一騎は総士が何を考えているのかが気になった。戸惑いながらも一騎は総士の顔色を窺った。総士は本当に安心して嬉しそうな顔をしていた。

「理由を話そう」
「あ、ああ」
「先日、メールがきた。僕はその相手を知らなかったが」
「危ないだろ・・・それ」
「よくあることだ、誰かが僕のメールアドレスを回すんだ」
「そんな・・・」
「メールアドレスは変えればいいだけだ。問題はその内容だった」
「どんなのだったんだ?」
「メールで告白をしてくる人は結構いるんだがな。そのメールの送り主は自分のことには何もふれず、一人称が俺、であったから男であることはわかったが、ただ僕のことを犯したいだの、監禁したいだの、誰かと付き合ったりしたら殺すとかいう文を送ってきたんだ。ここのとこ毎日何十通も」
「総士、警察に連絡しよう」
「もうした。だけど特にメールが送られてくるだけで被害らしい被害にあっていないから警察では対処できないらしい」
「総士・・・」
「そんな訳で、自分の身は自分で守らなければいけないんだ」
「それで俺を?」
「ああ。お前と僕の家は近いし、お前は道場にも通っていたからな」
「・・任せてくれ」
「お前を危険にはさらさないようにする、ただ少し心細かったんだ」
「そうか。・・親父さんには言ったのか?」
「・・・・いいんだ」

総士が暗い表情で言う。一騎は総士の父親について話すのはやめることにした。総士のそんな顔は一騎が見たくなかったからである。一騎は総士の個人情報を他人に回すようなやつも、総士を脅すようなやつもみんないなくなってしまえばいいと思っていた。そして何があろうとも総士を守ることを決意した。

「だけどなんでそんなこと送りつけてくるんだろうな、しかも犯すって・・・」
「多分、僕が怯えるのを見て喜んでるんじゃないか」
「・・・総士、俺にできることあったら何でも言ってくれ」
「今頼んだじゃないか」

そして総士は微笑んだ後、コップに口をつけ麦茶を飲んだ。水滴が今度は総士の口からあごを通って首へと流れた。ごくっという喉の音がした。一騎は完全に総士の首から目が離せなくなっていた。白くて、男にしては細すぎるその首。一騎が力を込めれば簡単に折れてしまいそうだった。
まるで俺の方が変態みたいじゃないか、そういう罪悪感を一騎は感じていた。
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